通信事業者が提供する大規模なネットワークにおいては,過剰な設備投資や設備不足に起因するふくそうを発生させないよう空間的及び時間的なトラヒックの構造を把握し,適切に設備の設計を行う必要があります。また,近年の様々な映像配信サービスやウェブ会議接続の増加,さらに新たなIoTサービスの出現によってトラヒック構造は複雑化しており,その構造を高い精度で観測及び分析することが重要となっています。本研究では通信トラヒックを適切に監視・可視化することでセキュリティインシデントやネットワーク障害といった異常の早期検出,さらには人流解析等の新たな価値の抽出に向けた研究を行っています。
ネットワークトポロジーの構造解析に関する研究
ネットワークトポロジー グラフ理論 グラフマイニング 稼働率 信頼性
通信ネットワークの形であるトポロジーはその初期値は比較的単純な構造で与えられますが,通信トラヒックの構造変化に伴って計画的にあるいは不規則にその構造は変容し,結果として複雑な構造となる傾向があります。また地震大国である我が国においては災害に耐性のあるトポロジーを構築し,有事におけるライフラインを確保できることが重要です。本研究では,グラフマイニング等を用いてトポロジーの構造を解析し,その結果を踏まえて経済性や災害に対する信頼性を高めるネットワーク設計法について研究しています。
構造解析及び周辺技術との連携によるネットワークの最適化
ネットワーク最適化 IPルーティング エッジコンピューティング クラウドコンピューティング IoT 映像配信 映像コミュニケーション
トラヒック構造やトポロジー構造を正確に把握した上でネットワークの設計や制御を最適化する研究を行います。研究のスコープはネットワーク内の設計・制御に限定せず,エッジコンピューティングまたはクラウドコンピューティング等とネットワークとが連携した機能配備の最適化,またユーザデータやIoTセンサーデータとネットワークとの連携による通信品質の最適化といった,ネットワーク技術と周辺技術とをコラボレーションした様々な研究を行っています。
オンラインゲームの体感品質向上に関する研究
オンラインゲーム リモートプレイ ゲーム品質評価 ネットワーク品質制御 エッジコンピューティング オールオプティカルネットワーク
一般的なオンラインゲームはクラウド上のサーバを利用するため、インターネットの混雑状況などによってはゲームプレイ時の体感品質が大きく低下する可能性があります。また、PCやゲーム専用機を用いてスタンドアロンのゲームを行う場合であっても、画面転送により異なる拠点からリモートプレイを行う環境が充実してきましたが、インターネット越しのリモートプレイでは大きく体感品質が低下してしまう課題があります。本研究ではゲームリソースをクラウド環境からエッジコンピューティング環境へ、また人の移動に追従してあるエッジ環境から別のエッジ環境へと自在に移動させることで、快適なゲームプレイ環境を提供するための研究を行っています。関連して、数十GB~数百GBに及ぶゲームリソースを効率的に伝送するためのオールオプティカルネットワークに関する研究も進めています。